私がお世話になっている先生が、日本経済新聞の記事に取り上げられましたので、
ここで紹介させていただきます。
世界でもますますそろばんが注目されています。
中東でそろばん教室(世界へ 関西スピリッツ)
無二の知と技で挑め 日本式普及へ製品も輸出
日経新聞 2014/9/26
「背筋を伸ばして正しい姿勢で。左手はそろばんを押さえて、右手に集中!」。今年4月、中東レバノンの首都ベイルートで、指導者向けのそろばん講習会が開かれた。講師を務めたのは京都府内でそろばん教室を運営する岡部秀夫(68)だ。レバノンでそろばんの指導をする岡部さん(中央、ベイルート) レバノンで指導を始めて2年。岡部が養成した指導者らが国中を回り、学校の先生らに指導法を伝授する。現在、周辺国のヨルダンなどを含め約6千人の子供たちが日本と同じやり方でそろばんを学んでいる。
「武道に通じる」 そろばんは約500年前に、中国から伝わった。最初に京都の寺子屋などで定着。関西から全国へと広まる過程で、計算力だけでなく、正確な処理能力や集中力を養うことを重視する指導法が築かれた。「基礎を重視し、型を重んじる点は茶道や武道に通じる」と岡部は話す。 そこに着目したのがレバノンで児童教育を研究するハムザ・ハディ(35)だ。同国は日本と同様に天然資源が乏しく、親の教育熱は高い。当初、マレーシアに本部を置く中国のそろばん塾チェーンのノウハウを導入したが定着はいまひとつ。より良い指導法を探していたとき「そろばん教育が日本の戦後復興を後押しした」と耳にして来日、岡部に指導を仰いだ。 「日本の指導の方がきめ細かく、圧倒的に成果が高かった」とハディ。岡部が監修し、日本語も記載された教材で学ぶ子供たちは「日本の国も大好きになった」という。 大阪府豊中市でそろばん塾を営む川西一仁(45)も海外普及に情熱を傾ける。2011年にトルコの現地企業とフランチャイズ契約を結び、一時は200人ほどの生徒が集まったが、この企業が経営破綻。自社で同国市場への再挑戦を狙う。 スウェーデンや米国の企業とも交渉中の川西は「国の事情や慣習に合わせて展開の仕方を選んでいく」と戦略を練る。 日本と中国は、そろばんそのものの輸出でもライバル関係だ。中国製は大半がプラスチックで廉価。日本は玉に用いる木など材料にこだわる。 大きさをそろえ、磨き上げた玉で組む日本のそろばんは「時計作り並みの高度な技術の結晶」。100年以上の歴史があるダイイチ(兵庫県小野市)の社長、宮永英孝(63)は力を込める。
国内市場は縮小 小野市は国内生産で7割のシェアを持つ「播州そろばん」の本場。だが電卓の普及や習い事の多様化で、播州そろばんの出荷量はピークだった1960年代の25分の1の年間14万丁に減った。 宮永は「技術を守るためにも海外に新たな販路を求める」と強調。レバノンでの販売を開始したのに続き、今年からハンガリーや南アフリカなどへの輸出も始めた。 そろばん製造の雲州堂(大阪市)は、日本が強みを持つICT(情報通信技術)をいかし、授業などで使える電子そろばんソフトの海外展開を目指す。英国での実証実験を模索しており、社長の日野和輝(64)は「世界に日本式のそろばん教育が広まればうれしい」と話している。(敬称略)